お肉の焼き加減を見極める3つの方法とフランス語をフレンチシェフが徹底解説!!

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フランス料理のメインディッシュであるお肉の焼き加減を見極めることは、プロの料理人として欠かせない重要なスキルです。

マオネコ

お客様に好みの焼き加減を聞く以上、責任重大です!

みなさんはお肉を焼くときに疑問に感じることはありますか?

新人コック

レアウェルダンはさすがに知っているけど、お肉の焼き加減はフランス語ではどう言うのですか?

新人コック

先輩やシェフは触っただけでお肉の状態がわかるのはなぜですか?
他にどんな方法があるんですか。

新人コック

なぜレアステーキはほとんど生なのに食べても大丈夫なんですか?
食中毒の危険はないのですか?

マオネコ

それぞれかんたんに結論からお答えすると、

お肉の焼き加減のフランス語表現を表にまとめるとこんな感じです。(火入れの若い順。)

英語フランス語
ベリーレア (Very Rare)ブルー(Bleu)
レア (Rare)セニャン (Saignant)
ミディアムレア (Medium Rare)ミ・セニャン(Mi-saignant)
ミディアム (Medium)ア・ポワン (A point)
ミディアムウェルダン (Medium Well)キュイ (Cuit)
ウェルダン (Well Done)ビアン・キュイ (Bien cuit)
お肉の焼き加減のフランス語表記(上から火入れの若い順)
プロの料理人はお肉の焼き加減を見極めるとき、3つの方法をとっています。
  • お肉を切った断面の色
  • お肉を触ったときの感触
  • お肉の中心温度

牛肉は鶏肉や豚肉と違い、表面にしか細菌がいないため、表面をしっかり焼けばレアでも食べられます。

マオネコ

ここから先は、それぞれの疑問をより詳しく解説していきます。

この記事を読み進めると分かること
  • お肉の焼き加減のフランス語表現
  • お肉の焼き加減の見極め方3選
  • 牛肉がレアでも食べられる理由と、他のお肉がレアで食べられない理由

それでは、いってみよう!

この記事を書いたマオネコって?

🐾 ホテルフレンチ勤務歴10年以上。

🐾 調理師免許の上位資格、【西洋料理専門調理師】も取得。

🐾 詳しいプロフィールはこちらをどうぞ!!

目次

お肉の焼き加減│フランス語での言い方

お肉の焼き加減は大きく以下の6つに分類されます。上から火入れの若い順でリストアップしています。

英語フランス語
ベリーレア (Very Rare)ブルー(Bleu)
レア (Rare)セニャン (Saignant)
ミディアムレア (Medium Rare)ミ・セニャン(Mi-saignant)
ミディアム (Medium)ア・ポワン (A point)
ミディアムウェルダン (Medium Well)キュイ (Cuit)
ウェルダン (Well Done)ビアン・キュイ (Bien cuit)
お肉の焼き加減のフランス語表記(上から火入れの若い順)

ブルー(Bleu)│ベリーレア

ブルー表面だけを軽く焼いた状態で、レアよりも生肉に近いです。

ブルー(ベリーレア)

食中毒のリスクがあるため、基本的には料理人から提案することはありません。

ブルーを知っている方はかなりのグルメと言えるでしょう。

たとえ新鮮なお肉を使用していても、安全を重視してブルーでの提供は避けるべきです。

セニャン (Saignant) │ レア

セニャン「血がしたたるような」という意味があり、レアに相当します。

セニャン(レア)

外側はしっかり焼かれているものの、中心部はほんのり温かく、赤い状態です。

ミ・セニャン(Mi-saignant)│ ミディアムレア

「ミ(mi)」「半分・半ば」という意味があり、ミディアムレアに相当します。

ミ・セニャン(ミディアムレア)

※ブルーをレア、セニャンをミディアムレアとする場合もありますが、その辺りは曖昧なこともあります。

ア・ポワン (A point) │ミディアム

ア・ポワン「ちょうど良い」という意味があり、ミディアムに相当します。
肉の中心部が美しいロゼ色を帯びた状態です。

ア・ポワン(ミディアム)

キュイ (Cuit)│ミディアムウェルダン

キュイ「焼けた」という意味があり、ミディアムウェルダンに相当します。
肉の中心部がロゼ色を通り越し、全体的にしっかりと焼かれた状態です。

キュイ(ミディアムウェルダン)

ビアン・キュイ (Bien cuit) │ウェルダン

ビアン・キュイ「よく焼けた」という意味があり、ウェルダンに相当します。
肉の中心部まで完全に火が通った状態です。

ビアン・キュイ (ウェルダン)

お肉の焼き加減を見極める3つの方法

お肉の焼き加減は

  • お肉の厚さ
  • お肉の部位
  • サシ(脂身)の入り方

などお肉の状態だけでなく、
使用するオーブン低温調理器などの調理器具のクセによって仕上がりが変わるため、一概に◯℃で◯分と決めることは難しいです。

結局、経験を積むしかない……。
と言ったら元も子もないので、ある程度見極める方法をお教えします。

マオネコ

プロの料理人はお肉の焼き加減を見極めるとき、主に3つの方法をとっています。

お肉の焼き加減を見極める3つの方法
  • 断面の色で見分ける方法
  • 弾力で確認する方法
  • 中心温度で確認する方法

お肉の焼き加減を見極める方法①│断面の色で見分ける方法

最もわかりやすい方法は、お肉の断面を見ることです。

マオネコ

ミディアムの美しいロゼ色を基準とするとわかりやすいです。

お肉の焼き加減(illustACより出典)
焼き加減状態
レア 中心部は鮮やかな赤色で、ほとんど生に近い状態。
ミディアムレア中心部は濃いピンク色で、周囲に向かって徐々に色が薄くなる。
ミディアム 中心部はロゼ色で、全体的に均一な色合い。
ミディアムウェルダン 中心部はほとんどロゼ色ではなく、茶色に近い。
ウェルダン中心部まで完全に火が通り茶色い。
肉の焼き加減と断面の色合い。

イタリアンのタリアータ鉄板焼レストランなど、カットしてから提供するなら、見た目で判断できるので失敗が少ないです。

欠点として、切らないとわからないため、お肉をかたまりのまま提供したいときには適していません。

ステーキの焼き加減を見極める方法②│弾力で確認する方法。

トング指で軽く押さえたときのお肉の弾力で確かめる方法です。

プロはこの方法で確認しますが、経験が必要なため、一朝一夕で習得するのは難しいです。

焼き加減状態
レア 非常に柔らかい弾力。
ミディアムレア少し弾力があり、指で押すと軽くへこむ。
ミディアム 中弾力があり、指で押しても形が変わらない。
ミディアムウェルダン かなり弾力があり、指で押してもほとんどへこまない。
ウェルダン非常に硬い弾力。
肉の焼き加減と触ったときの弾力。
新人コック

言うのは簡単だけど、文字だけだとわかりにくいです……。

マオネコ

あくまで目安みたいなものですが、手を指で押して確かめる秘密の方法を教えます。

肉の焼き加減を指で確認する㊙テクニック

親指の付け根の下をプニプニする。(レアのやわらかさ)
親指と人差し指をくっつけて、親指の付け根の下を押す。(ミディアムレアのやわらかさ)
親指と中指をくっつけて、親指の付け根の下を押す。(ミディアのやわらかさ)
このあたりから、だんだん手の筋肉が固くなってくることが分かります。
親指と薬指をくっつけて、親指の付け根の下を押す。(ミディアムウェルダンのかたさ)
親指と小指をくっつけて、親指の付け根の下を押す。(ウェルダンのかたさ)
新人コック

これならお肉を焼かなくても やわらかさが分かりますね!

マオネコ

ただし肉の厚さによっても状態は変わるので、あくまで目安みたいなものです。

通りすがりのペンギン

指がないからできなかったよ…。

肉の焼き加減を見極める方法③│中止温度で確認する方法。

肉の厚さがある場合、芯温計を使って中心温度を測る方法が最も確実です。


お肉をカットせず提供するときや、ローストビーフに適した方法です。

焼き加減中心温度
レア 48℃ ~ 50℃
ミディアムレア 51℃~53℃
ミディアム 53℃~58℃
ミディアムウェルダン 60℃~65℃
ウェルダン68℃~ 70℃
肉の焼き加減と中心温度の目安。

注意点として、余熱でも火が少しずつ入っていくので、温度管理がかなりシビアです。

新人コック

ミディアムレアで仕上げたいつもりが、余熱でミディアムになっちゃった……。

ということがよくあります。

狙った焼き加減より3℃〜5℃低い状態でルポゼする(お肉を休ませる)と、余熱でベストな状態に仕上げることができます。

お肉を焼くときに役立つ、火入れに関する専門用語を解説した記事はこちら

肉は70℃を超えると旨味が流出し、固くなってパサついてしまいます。

マオネコ

ウェルダンだからといって火を通しすぎると、それはもはやステーキではなく「焼けた肉」になってしまうので、注意しましょう!

安全に料理を提供するために│なぜ牛肉はレアでも食べられるのか

新人コック

そもそも、どうして牛肉はレアでも食べられるのですか?
食中毒菌の心配はありませんか?

牛肉がレアで食べられる理由は、牛肉の構造と細菌の分布に関連しています。
牛肉は筋繊維がしっかりと詰まってるため、細菌が内部に入り込みにくい構造を持っています。

牛肉は筋繊維が詰まってるため、細菌が内部に入り込みにくい

細菌の多くは肉の表面に付着しています。


牛肉の表面をしっかりと加熱することで、サルモネラ菌大腸菌などの有害な細菌を殺菌し、レアでも安全に食べられる状態になります。

鶏肉豚肉肉の内部まで食中毒菌が潜んでいるので、表面を焼くだけのレアでは食べられません。

牛挽き肉はレアで提供してはいけない

よくある勘違いですが、たとえ牛肉でも挽き肉はレアで提供してはいけません!!

牛肉はレアでも大丈夫だと、誤った認識でハンバーグをレアで出そうとする飲食店があれば要注意です。

ひき肉は、肉の内部と外部が混ざり合っているため細菌が内部にも入り込みやすい状態になっています。

さらに、挽き肉にする調理器具「ミンサー」も無菌ではないため、器具から牛肉へ菌が付着し、増殖する可能性が高いです。

挽き肉にする道具「ミンサー」

特に、病原性大腸菌O157は非常に危険で、少量の摂取でも重篤な食中毒を引き起こす可能性があります。
O157は加熱により死滅するため、挽き肉は内部までしっかりと加熱し、中心温度が75℃以上になるまで調理することが必要です。

新人コック

牛肉だから全てが安心というわけではないのですね。

鶏肉や豚肉のレアは危険

食材によって、安全に食べられる中心温度は異なります。

「流行りの低温調理なら鶏肉や豚肉もレアで提供しても良い」という誤った認識を持つ人がいますが、牛肉以外のレア食は危険だということを覚えておきましょう。

鶏肉や豚肉には、

  • サルモネラ菌
  • カンピロバクター
  • トキソプラズマ

などの食中毒菌が潜んでいます。

牛肉と違い、これらの菌は肉の表面だけでなく内部にも存在するため、中心温度が68℃以上になるまでしっかりと加熱する必要があります。

鶏肉豚肉を中心温度65℃以下の設定で低温調理をする場合は、カンピロバクターやサルモネラ菌が死滅するまで長時間加熱をする必要があります。

生焼けの状態ではカンピロバクターなどの菌が残存し、食中毒のリスクが高まるため、必ず安全な中心温度と菌が死滅するまでの加熱時間を確認して調理しましょう。

まとめ

メインディッシュであるお肉の焼き加減をお客様のリクエストどおりに仕上げることは、責任重大な仕事です。

ベストな状態で提供できたときのお客様の感動は計り知れないものでしょう。

とはいえ、お肉の焼き加減を見極めるスキルは、一朝一夕では身につくものではありません。

基本を押さえ、実践を重ねることで確実に上達します。

マオネコ

まずは、先輩が焼き上げたお肉を触って確認し、自分の感覚と照らし合わせることが上達への近道です。

通りすがりのペンギン

触って確かめる時は手袋を忘れないでね!!

食材の特性を理解することも重要です。


牛肉は表面の加熱でレアでも安全に食べられますが、挽き肉や鶏肉、豚肉は内部までしっかりと火を通す必要があります。

安全で美味しい料理を提供するために、常に焼き加減に注意を払いましょう。

この記事で学んだことを実践し、さらなるスキルアップを目指してください。


お客様に最高の一皿を提供するために、日々の努力を怠らないようにしましょう。

このブログではこれからも、新人・見習い料理人のみなさんが、「明日からもまたがんばろう!!」と思えるような記事を発信していきます!

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気になることや取り上げてほしいテーマがあれば、ぜひDMやコメントで教えてください。

皆様からのコメントがマオネコのブログ執筆の励みになります。あなたの声をお待ちしています!!

それでは!!

通りすがりのペンギン

「キッチンねこぽ」で検索しても遊びに来れるよ!
またね!

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この記事を書いた人

こんにちは!マオネコです!!
🐾現役フレンチ料理人
🐾西洋料理専門調理師

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優しいブログを目指します。

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