フランス料理│プロ厳選!!火入れに関する専門用語20選!!

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フランス料理の基本を確実に身につけるために、火入れの技術を深く理解することは不可欠です。

フランス料理で「火入れ」のことを「キュイッソン(cuisson)」と言います。
火入れ(キュイッソン)に関する専門用語には他にもデグラッセレデュイールなど聞き慣れないフランス語も多く、余計に難しく感じますよね。

さらに近年はスチームコンベクションや既製品に頼ることが増え、新人や見習いコックさんがアロゼモンテといった基本テクニックを使う場面も減っているように思えます。

新人コック

たしかに、ことばは知っていても、具体的にどうやっているのか、なぜその工程が必要なのかまでは考えたことなかったです。

マオネコ

そこで今回は、プロの料理人マオネコが厳選した、フレンチの火入れのときによく使う専門用語を20個解説します。

ただ言葉の意味だけを解説してもつまらないので、一部は実際どうやっているか分かりやすい動画も紹介します。

この記事を書いたマオネコって?

🐾 ホテルフレンチ勤務歴10年以上。

🐾 調理師免許の上位資格、【西洋料理専門調理師】も取得。

🐾 詳しいプロフィールはこちらをどうぞ!!

それでは、いってみよう!

通りすがりのペンギン

目次から知りたい言葉だけを探すこともできるよ!!

\スペルがわからなくても専門用語をかんたんに調べられます!!/

目次

アロゼ (arroser)│かける・そそぐ

アロゼとは、肉や魚を焼きながら、上からバターや油・肉汁などをかけることです。

アロゼをすることで、食材が乾燥せず、ジューシーに仕上げることができます。

とくに、 厚みのある肉や魚をアロゼすることで、中心までゆっくりと火を通す役割も兼ねています。

近年は真空調理が主流になっているので、フライパンやオーブンで調理をすることが減り、それに伴いアロゼをする機会も減ってきている気がします。

マオネコ

アロゼはフレンチやイタリアンを専門とする上では欠かせないスキルです!最優先で覚えましょう!!

ポイント

  • アロゼを行うことで、食材を乾かないようにする。
  • アロゼを行うことで、バターの風味や肉汁の旨味を加えることができる。
  • 熱い油や肉汁をかけることで、食材の中心にも火が通りやすくなる。
  • 食材に火が入りすぎないよう、アロゼをする時は弱火にする。
  • 程よく焦げたバターや肉汁の色をつける役割もある。

詳しくはこちらの動画で分かりやすくアロゼをしているシーンがあるので、参考にしてください。

アンフュゼ (infuser)│煮出す・煎(せん)じる

アンフュゼは、液体にハーブやスパイスなどの香りや風味を抽出することです。
ソースやスープに深みを与えるために使われます。

エキュメ (Écumer)│アクをとる

エキュメは、スープやソースを煮込む際に表面に浮かぶアク(泡や不純物)を取り除くことです。
アクをこまめに取り除くことで、料理の見た目と風味が向上します。

キャラメリゼ (Caraméliser)│(砂糖をふって)焦がす

キャラメリゼは、砂糖を加熱してキャラメル状にすることです。

フルーツをキャラメリゼしたり、ガストリックを作る時によく使う言葉で、用途によって焦がし方が変わります。

マオネコ

ガストリックは砂糖とビネガーをキャラメリゼしてソースにコクを加える隠し味的なものですが、語ると長くなるのでいずれ別記事で紹介しようと思います。

キャラメリゼのコツ│泡が立つ瞬間や においを覚えよう。

最大のコツは泡の立ちはじめるタイミングを見逃さないことと、においを覚えることです。

水分や食材を加えるのが早すぎると薄くてコクのないカラメルになりますが、焦がしすぎると苦くなってしまいます。

新人コック

説明を聞くと簡単そうですが、実際にキャラメリゼをやってみるとかなり難しいですね。

マオネコ

こればかりは、数をこなすしか上達する方法はありません。
先輩がキャラメリゼするときは、作業を中断してでも、そのコツやタイミングを付きっきりで見て覚えるのが重要です。

キャラメリゼの工程がよく分かる動画を紹介します。

キュイッソン(cuisson)│火入れ

キュイッソンは、「火入れ」のことです。

調理中に使うことはあまりありませんが、専門書などで「キュイッソンの哲学」や「キュイッソンのコツ」のような感じで、知っていて当然かのように出てくるので、覚えておきましょう。

マオネコ

この記事もかっこよく言えば、フランス料理「キュイッソンに関する専門用語20選」みたいな感じになります。

グラチネ (Gratiner)│チーズやパン粉で焼き色をつけること

仔羊のグラチネ

グラチネは、料理の表面にチーズやパン粉を乗せてオーブンで焼き、焼き色をつけることです。

グラタンの語源でもあります。

マオネコ

グラタンと言うと、ホワイトソースをたっぷりかけたポテトグラタンなどをイメージすると思いますが、フレンチではチーズやパン粉をのせて焼く料理や調理法のことを指します。

シャンブレ (Chambrer)│(食材を)室温にすること

シャンブレは、食材を室温に戻すことです。

新人コック

よくレシピなどで「ステーキ肉を焼く30分前に冷蔵庫から取り出しておく 」というあれのことですね。

スュエ (Suer)│ごく弱火でソテーすること

スュエは、食材(特に野菜)を低温でゆっくりと炒め、汗をかかせるように水分を引き出すことです。

スープやソースを作る時、「エシャロットをスュエする」というように使います。

レシピによっては「シュエ」や「スエ」と表記されることもありますが「スュエ」です。

新人コック

「スュエ」発音が難しいですね。

通りすがりのペンギン

意味もなく言いたくなるね。
スュエ。

デグラッセ (Déglacer)│鍋底に残った旨味を溶かこと

デグラッセは、焼いた肉の鍋に液体(ワインやブイヨンなど)を加えて、鍋底に残った旨味を溶かし出すことを指します。

デグラッッセした液体でソースを作ることもよくあります。

デグラッセの工程がよく分かる動画を紹介します。

デグレッセ (Dégraisser)│脂をとること

デグレッセは、スープやソースの表面に浮いた脂を取り除くことを指します。

先ほどのデグラッセと一文字違いで紛らわしいですが、全く別の意味です。

ブランシール (Blanchir)│茹でる

ブランシールは 茹でることです。
主に野菜を下茹でにする時に使います。

パティシエの製菓の専門用語だと意味が変わり、その場合 卵と砂糖を白っぽくなるまで混ぜることをブランシールといいます。

フランベ (Flamber)│アルコールをふりかけて火をつける

フランベは、料理にブランデーやラムのようなアルコール度数が高い酒をかけて火をつけ、風味を加える技法です。

特に鉄板焼レストランでは、見栄えも良いことからお客様の前でフランベのパフォーマンスをすることが多いですが、ボヤ騒ぎやお客様に引火させて火傷を負わせた事例もあるので、安全を重視して不必要にやらないほうが良いでしょう。

ミジョテ (Mijoter)│とろ火で煮る

ミジョテは、食材をとろ火でゆっくりと煮込むことです。

食材が焦げないように、たまにスパテラやヘラでかき混ぜましょう。

メイラード反応 (Réaction de Maillard)│

メイラード反応は、糖とアミノ酸(タンパク質)が加熱により褐色化反応を起こし、風味豊かな成分を生成する現象です。

文字にするとわかりにくいですが、身近な例であげると

・食パンをトーストすると香ばしく、焼き色が付くこと

・ステーキが褐色に焼き上がること

メイラード反応です。(アミノカルボニル反応とも言います。)

マオネコ

料理用語というより化学反応ですが、火入れの技術を身につけていくうえで必ず出てくるワードですので覚えておきましょう。

モンテ (Monter)│バターでとろみをつけること

モンテは、ソースやポタージュにバターを加えて、とろみをつけることです。
コーンスターチや片栗粉でとろみをつけることと違って、バターのコク美しい艶(つや)加えることができます。

マオネコ

冷たいバター少しずつ加えることで、分離することなくソースと一体化(乳化)し、濃度がつきます。

こちらの動画で、一瞬ですが赤ワインソースをバターモンテするシーンがあるので参考にしてください。

リエ (Lier)│とろみをつける

リエは、ソースやスープにとろみをつけることです。

コーンスターチや片栗粉でとろみをつけるのが一般的ですが、卵黄や動物の血でリエするソースもあります。

リソレ (Rissoler)│焼き色をつけること

リソレは、食材の表面に強火で焼き色を付けることです。

リソレをする時、温度が低いと焼き色がキレイにつかないのでフライパンの温度を高く保つことがポイントです。

マオネコ

ポワレやソテーが「調理法」の名称なのに対し、リソレは単に焼き色を付ける「工程」を指します。

🐾ポワレやソテーはこちらの記事で詳しく解説しています。🐾

ルポゼ (Reposer)│食材を休ませること

ルポゼは、焼いたお肉を休ませることです。

ルポゼをすることで、肉汁を均一に行き渡らせ、ジューシーで柔らかな仕上がりになります。

ルポゼをしないうちに焼き上がったお肉を切ると、肉汁が溢れてうま味が流れ出てしまうので気をつけましょう。

休ませる時間は食材の大きさに応じて調整しますが、一般的に5〜10分が目安です。

マオネコ

前半に紹介したアロゼの動画の中盤(7:10)でも、ルポゼという言葉は出ませんが、お肉を休ませる工程があります。

レデュイール (Réduire)│煮詰めること

レデュイールは、液体を煮詰めて量を減らし、濃縮することです。

赤ワインソースやブイヨン、スープなどを煮詰めるときに使う言葉です。
ソースが命のフランス料理では欠かせない工程なので、必ず覚えておきましょう。

マオネコ

レデュイールした状態のものを「レディクション」と言います。

真空調理 │キュイソン スゥ ヴィッド (Cuisson sous vide)

真空調理とは、食材を真空パックに封入し、低温調理器による湯せんやスチームコンベクションで調理する方法です。

厨房では普通に「真空調理」と日本語で言うので、フランス語表記はあまり気にしなくて良いです。

真空調理と低温調理の違い

新人コック

真空調理と低温調理はちがうのですか?

真空調理は、真空パックを用いる点が特徴です。

真空パックした牛サーロイン。

真空調理は、ブレゼやビーフシチューなどを100℃以上で加熱するレシピもあるので、必ずしも低温調理をするわけではありません。

一方、低温調理は、80℃以下の低温で加熱する調理法です。
低温調理は、真空パックを使用しない場合もあり、オーブンや鍋を使って調理する方法や、真空パックの代わりにジップ袋を使うこともあります。

マオネコ

昔ながら調理法で作るコンフィがそれに当たります。

コンフィについて詳しく解説した記事はこちら

真空調理のメリットと注意点

真空調理のメリットは、低温で長時間加熱するため、食材の細胞壁が破壊されず、風味や食感が損なわれないことです

一方で、真空調理には注意点もあります。

真空パックが破れると液体が漏れ出たり、火入れの熱循環が悪くなり、味付けと仕上がりに影響が出ることがあります。

また真空調理で低温調理をする場合、食中毒のリスクを避けるために、適切な温度管理が必要です。

基本的に、食材の中心温度を75℃・1分以上の加熱、またはそれと同等の効果がある火入れをすることで、ほとんどの食中毒員を死滅させ安全に食べることができるとされています。1

🐾低温調理と食中毒に関する安全対策はこちらの記事で詳しく解説しています。🐾

まとめ

火入れの技術(キュイッソン)は、料理の質を大きく左右します。

フランス料理の専門用語を理解し、そのテクニックを身に付けることは、見習い料理人にとって重要なステップです。

今回紹介した火入れの技術を日々の仕事に取り入れてみましょう。

新人コック

言葉として何となく知っているテクニックも、動画と一緒に学べて勉強になりました!

マオネコ

まずは先輩に聞いたり、動画でコツをしっかりと学び、仕事に活かしましょう。

このブログではこれからも、新人・見習い料理人のみなさんが、「明日からもまたがんばろう!!」と思えるような記事を発信していきます!

X(旧Twitter)【@maonekoNekopo】もやっています!お気軽に いいね!やフォロー、コメントをお願いします!!
気になることや取り上げてほしいテーマがあれば、ぜひDMやコメントで教えてください。

皆様からのコメントがマオネコのブログ執筆の励みになります。あなたの声をお待ちしています!!

それでは!!

通りすがりのペンギン

「キッチンねこぽ」で検索しても遊びに来れるよ!
またね!

他にもフレンチの専門用語を解説した記事がありますので、ぜひ読んでみてください!

  1. 厚生労働省公式HPより。詳しい資料はこちらから見れます。 ↩︎

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この記事を書いた人

こんにちは!マオネコです!!
🐾現役フレンチ料理人
🐾西洋料理専門調理師

このサイトは、今年ホテルやレストランに勤めたばっかりの新人コックさんや、これからプロの料理人になりたいと思っているあなたにとって、背中を後押しできるような情報を発信していけたらなと思って始めました。
優しいブログを目指します。

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