フランス料理のフルコースで『前菜』を意味する『アントレ』と『オードブル』。
その2つの違いをご存知でしょうか。
ベルサイユのばら?
それはアンドレだね。
『オードブル』はよく聞くけど、『アントレ』は初めて聞きました。
どちらも『前菜』と言っていたけど、どう違うの?
たしかに、新人や見習い料理人の方にとっては聞き馴染みのない言葉かもしれませんね。
今回はそんなあなたのために、『アントレ』と『オードブル』、この2つの違いを分かりやすく解説します!
- 『アントレ』と『オードブル』、2つの前菜の違い。
- 『アントレ』の前菜以外のもう一つの意味。
- 新人・見習い料理人におすすめのレシピ本。
- ホテルでフランス料理を10年以上続けています。
- 現在はシェフ・ド・パルティ(部門シェフ)
- 調理師免許の上位資格、【西洋料理専門調理師】取得。
アントレ(Entrée)とオードブル(Hors d’oeuvre)の違い
アントレ(Entrée)とは
『アントレ(Entrée)』はフランス語で「入口」を意味し、フルコースの前菜にあたります。
冷たい前菜は「アントレ・フロワード( entrée froide)」、
温かい前菜は「アントレ・ショード (entrée chaude)」といいます。
冷たいアントレ( entrée froide)の例
- サーモンのカルパッチョ
- パテ・ド・カンパーニュ
- フォアグラのテリーヌなど
温かいアントレ(entrée chaude)の例
- コンソメロワイヤル
- キッシュ・ロレーヌ
- 魚介のベニエなど
オードブル(Hors d’oeuvre)とは
一方、『オードブル(Hors d’oeuvre)』は、「作品の外」を意味し、フルコースの最初に登場する軽食や小皿料理を指しています。
「作品の外」を意味する通り、大昔はオリーブやピクルスなど、ちょっとしたオードブルが食卓に並び、食事の流れとは関係なく気が向いた時につまんでいました。
時代の変化に伴い、オードブルといえどメイン料理に近い分量となっていき、食事に占める役割が大きくなっていきます。
すると、最早『作品の外』ではなく『一部』なってしまいました。
そうして次第に、前菜のことを『オードブル』(作品の外)ではなく、『アントレ』=『入口』と呼ぶようになりました。
日本では一般的には『オードブル』=前菜として広まっているので、プロの料理人でも新人や見習いだと『アントレ』という表現を知らない人もいます。
『アントレ』も『オードブル』も、どちらも「前菜」という意味なんだね。
\オードブルを担当するコールドセクションの調理用語を解説した記事はこちら!/
アントレとオードブルの前菜としての役割
『アントレ』(前菜)は『アミューズ』(一口のお愉しみ。お通しのようなもの。)に続く料理で、アミューズ同様、あとに続く料理への期待感を高めるとともに、シェフの技術や創造性が試されます。
『アミューズ』はカジュアルなランチやコースメニューでは、必ずしも提供されるわけではないので、その場合、『アントレ』(前菜)がコース料理最初の一皿目としての役割を果たすことになります。
※アミューズを『小さいオードブル(=作品の外)』と捉えると混乱がないと思います。
🐾アミューズについてはこちらの記事で詳しく解説しています。🐾
アントレには『肉料理』の意味もある。
実は『アントレ(Entrée)』には『前菜』の他に、『肉料理』を意味する場合があります。
ややこしい・・・。
通常、フルコースは
前菜→温前菜(スープやリゾットなど)→魚料理→肉料理(メインディッシュ)・・・
という流れが主流です。
メニュー構成によっては、魚料理のあとに肉料理が2〜3種類続く場合もあります。
その場合の、メインディッシュの前の肉料理を『アントレ』(Entrée)と表現します。
例えば、『鴨胸肉のポワレ』→『牛フィレ肉のロースト』と続く場合、
- 『鴨胸肉のポワレ』→アントレ
- 『牛フィレ肉のロースト』→メインディッシュ
と区別するわけです。
ただし、勘違いしないでほしい点は、『アントレ』イコール『肉料理』という意味ではありません。
?どういうこと。
単に『肉料理』全般を指す言葉としては『ヴィヤンド』(Viandes)といいます。
コース料理に『ヴィヤンド』が複数ある場合、メインディッシュの前に出される肉料理を『アントレ』と呼ぶ。ということです。
なるほど。
ややこしいですね。
先ほども述べましたが、『アントレ』には『入口』という意味があるので、『肉料理への入口』のようなニュアンスで考えると分かりやすいと思います。
通常業務ではあまり使わない表現ですが、
たまに年に1~2回の賞味会や特別ディナーでメニュー表記されることがあるので、
教養として知っておくと、メニューや料理の理解度が深まるし、
先輩やシェフに勉強していることが伝わると思います。
ぜひ覚えておきましょう!
コースで肉料理が続く場合、『メインディッシュ』の前の肉料理(ヴィヤンド)を『アントレ』と表現する。
プロがおすすめする『オードブル』レシピ本を紹介します。
最後に、プロの料理人がおすすめする『オードブル』のレシピ本を紹介します!
◎すべての料理がフルカラーで掲載せれていて読みやすい。
◎新人や見習い料理人でもマネ出来そうな基本的な料理が多く紹介されています。
◎実際に作らなくても、「こういう料理があるんだ!」と知識を増やすのに特に役立ちます。新人や見習い料理人こそ持っておきたい1冊です。逆にある程度知識や実力をつけたら少し物足りないかも。
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◎季節ごと・野菜ごとに多彩なレシピを紹介しているので、新メニュー考案時期などにとても参考になります。
◎和食や中華だけでなく、野菜を使ったデザートメニューも一部紹介されていて勉強になります。
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◎和食・フレンチを中心に非常にハイクオリティな料理が紹介されています。レシピだけでなく器や盛り付けのデザインの勉強にもなる1冊。
△かなりプロ向けの内容なので、新人や見習い料理人には少し難しい内容となっていますが、本の終盤にはシェフたちのインタビュー記事もあるので、将来像のメージやモチベーション向上の為にも役立つ情報が満載です。
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まとめ
この記事では、フランス料理における『アントレ』と『オードブル』の違いについてと、『アントレ』のもう一つの意味について解説しました。
今回の内容をまとめるとこんな感じです。
- 『アントレ』も『オードブル』も前菜の意味。
- 『アントレ』は『入口』を意味し、前菜の場合『コース料理の入口』という考え方。
- 前菜には、あとに続く料理の期待度を高める重要な役割がある。
- コースで肉料理が続く場合、『メインディッシュ』の前の肉料理(ヴィヤンド)を『アントレ』と表現する。(『肉料理の入口』のようなニュアンス。)
今までよくわからなかったけど、『アントレ』と『オードブル』の違いがよくわかりました。
今回はフレンチの前菜について解説しました。
今後は、スープについて掘り下げる記事や、イタリアンにおける前菜について解説する記事を投稿予定ですので、お楽しみに。
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