プロの料理人が作る濃厚でクリーミーなポタージュ。
ポタージュは比較的簡単な料理なので、新人や見習い料理人でも、早い段階で仕込みを任される人も多いのではないでしょうか。
基本的に料理長やホテルの伝統的なレシピで作られますが、
職場によっては、ポタージュ作りを若手の勉強のためにと、食材選びからレシピまで一任させる場合もあるでしょう。
責任重大!コーンポタージュやジャガイモのポタージュは簡単だけど誰でも作れそうだし、任されるからには、色んな種類のポタージュを知りたいですね!
そんなあなたのために、この記事では、
基本的なポタージュのレシピから様々なポタージュのバリエーション、
さらには新メニュー考案のアイデアとヒントといった応用までお伝えします!
最後まで読めば実に20種以上のポタージュのバリエーションが増えることでしょう!
- ホテルでフランス料理を10年以上続けています。
- 現在はシェフ・ド・パルティ(部門シェフ)
- 調理師免許の上位資格、【西洋料理専門調理師】取得。
- ポタージュの基本的なレシピ5選
- ポタージュの種類・バリエーション
- ポタージュの応用的なアイデア、レシピ考案のヒント
※注意
正確には『ポタージュ』はフランス語でスープ全般を指す言葉ですが、
この記事では、一般的にイメージされる『野菜のクリームスープ』の意味合いで話を進めます。
🐾『ポタージュ』と『スープ』の違いについてはこちらの記事で詳しく解説しています!🐾
それではいってみよう!
ポタージュの作り方は知ってるからアイデアだけ教えてよ!という方は
こちらから先に読み飛ばせるよ!
ポタージュの基本的なレシピ
ホテルやレストランによって違いますが、基本的なポタージュのレシピを紹介します。
下記のレシピは、あくまで参考程度に、それぞれの職場のレシピと照らし合わせていただけると幸いです。
- A.主役となる野菜……1kg(正味)※正味とは、皮や種などの不要物を除いたあとの重量のこと。
- 玉ねぎ……200g
- ポワロー……100g※ポワローがなければ玉ねぎのみでも大丈夫です。
- ソテー用の油、またはバター……適量 ※大量調理する場合、乳製品アレルギー対策として油でのソテーがオススメです。
- 水(又はブイヨン……1L〜1.5L※A.主役となる野菜に対して同量~1.5倍の水分。
- 仕上げ(提供前)に牛乳や生クリーム……適量
コースなら一人100cc~140ccぐらいが目安です。この分量なら牛乳やクリームで伸ばして約20~30人分となります。
水(ブイヨン)の量に開きがあるのは、主役となる野菜のでんぷん質の量によって仕上がりの濃度が違うからです。
ポタージュの基本的な作り方。
この記事で紹介する程度の量なら、ハンドブレンダーが場所も取らず、洗い物も少なくてオススメです!
お家で練習するならハンドブレンダーがあると便利です!!
\自宅でポタージュを作るなら持っておくと便利!!/
ホテルやレストランでは④の工程まで作って冷却・保存し、
提供前に温め直して⑤の仕上げを行うことが一般的です。
アレルギーのことまで考えたほうがいいんですね。気をつけます!
シンプルで王道。|伝統的なポタージュのバリエーション5選!!
基本的なポタージュを5種類紹介します。
簡単なレシピも載せますが、作り方はどのポタージュも基本的に先ほどの工程で作れるので割愛します。
パルマンティエ(parmentier)│ジャガイモのポタージュ
- ジャガイモ……1kg(正味。)
- 玉ねぎ……200g
- ポワロー……100g
- ソテー用の油、またはバター……適量
- 水(又はブイヨン)……1.5L
料理名に【パルマンティエ】とつくとジャガイモを使った料理のこと。
18世紀ごろ、フランスにジャガイモの普及に貢献した農学者の名前に由来します。
マイス(maïs)│とうもろこしのポタージュ
- とうもろこし……1kg(正味。)
- 玉ねぎ……200g
- ポワロー……100g
- ソテー用の油、またはバター……適量
- 水(又はブイヨン)……1L
とうもろこしのことをフランス語で【マイス】といいます。
缶詰や生のとうもろこしでも作れますが、ホテルなどの大型施設だと、冷凍のピューレをベースに作ることが多いです。
ポティロン(potiron)│カボチャのポタージュ
- かぼちゃ……1kg(正味。)
- 玉ねぎ……200g
- ポワロー……100g
- ソテー用の油、またはバター……適量
- 水(又はブイヨン)……1.5L
カボチャのことを【ポティロン】と言います。カボチャの種と皮を取り、正味1kgで作ります。
こちらも冷凍ピューレをベースに作ると楽です。
クレシー(crécy)│人参のポタージュ
- 人参……1kg(正味。)
- 玉ねぎ……200g
- ポワロー……100g
- ソテー用の油、またはバター……適量
- 水(又はブイヨン)……1L
人参のポタージュを【クレシー】と言います。
これはフランスのクレシー地方に由来します。
ホテルなどの大型施設なら、人参シャトーで削った余りが出るので、そこから作るとロスが抑えられて良いです。
サンジェルマン(Saint-Germain)│グリーンピースのポタージュ
- グリーンピース……1kg(正味。)
- 玉ねぎ……200g
- ポワロー……100g
- ソテー用の油、またはバター……適量
- 水(又はブイヨン)……1L
料理名に【サンジェルマン】とつくと、グリーンピースを用いた料理を表します。
これはパリ近郊のサンジェルマン=アン=レーがグリーンピースの産地であることにに由来します。
ポタージュ作りのアイデアとヒント①|季節ごとの旬を味わう。
ここまでで基本的なポタージュのレシピとバリエーションの知識が増えてきたことだと思います。
次はポタージュのレシピを考案する際のアイデアとヒントを紹介しましょう。
基本的な作り方は説明したとおりなので、ここからは素材やアレンジのヒントの紹介とします。
分量も先程までのA.主役となる野菜を置き換えるだけでいいと思って大丈夫です!
作り方を忘れちゃった方は、こちらから連れて行くよ!
春のポタージュ
春は新緑の季節。
緑色が鮮やかなグリーンピースやそら豆などの豆類と、アサリなどの貝類が旬を迎えるので、それらを活かしたポタージュがよく作られます。
春のポタージュ①│グリーンピースと貝出汁のポタージュ
素材を煮る水分をアサリやムール貝などの貝のダシで作ると、春らしい一品になります。
春のポタージュ②│新玉ねぎのポタージュ(オニョー・ヌーボー。oignon nouveau。)
玉ねぎのみで作るポタージュ。特に新玉ねぎは甘みが強いので、4〜5月のスープに最適です。
春のポタージュ③│山菜の天ぷらを添える。
じゃがいものポタージュなどシンプルなスープに、フキノトウやタラの芽、ゼンマイなど数週間のみ味わえる山菜の天ぷらを添えるのも1つの案です。
夏のポタージュ
夏はトマトやとうもろこしなどの夏野菜を中心としたポタージュがよく作られますが、ヴィシソワーズのような冷たいスープにすると喜ばれます。
夏のポタージュ①│ヴィシソワーズ(vichyssoise)
冷たいじゃがいものスープ。レシピは先程のパルマンティエと同じです。
仕上げの工程で牛乳を多めに入れて伸ばすと飲みやすくなります。
枝豆のピューレで色を付けてアレンジしてもいいでしょう。
夏のポタージュ②│ホワイトコーン(マイス・ブラン。maïs blanc)
黄色いとうもろこしよりも甘みが強く、見た目にも面白い食材。
冷たくしても美味しいですし、浮身にバター醤油で炒めたコーンを加えると夏の縁日のような雰囲気も出せます。
夏のポタージュ③│パプリカ(ポワブロン・ルージュ。poibron rouge)
パプリカだけでは旨味が少ないので、トマトジュースやトマト缶を加えると酸味と甘味のバランスが良くなります。
秋のポタージュ
秋は旬の食材が多いのでポタージュのバリエーションが最も多い季節です。
秋のポタージュ①│きのこのポタージュ(シャンピニオン。champignon)
マッシュルームやポルチーニなどの1種類のきのこで作ってもとても美味しいですが、
- しめじ
- 舞茸
- エリンギ
- しいたけなど……
様々なきのこを混ぜることで【4種のキノコのスープ】などネーミング的にも美味しく見えること間違いなしです。
きのこは強火でソテーして旨味を凝縮してから煮込むのがコツです。
秋のポタージュ②│さつまいものポタージュ(パターツ ドウス。patate douce)
水から煮込むより、一度焼き芋のように皮ごと蒸して甘みを凝縮してから、皮を剥いて煮るのがコツです。
紫芋で作っても鮮やかで美味しいです。
秋のポタージュ③│クリのポタージュ(シャティーニュ。châtaigne。)
栗はでんぷん質が多いのでかなり濃度が付きます。水は多めに煮込んだほうがいいでしょう。
秋のポタージュ④│ごぼうのポタージュ(バルダーヌ。bardane。)
ゴボウは繊維が非常に多いので、煮込み時間が甘いと濾しにくくなるので、時間をかけて煮込みましょう。
冬のポタージュ
冬はカブなどの根菜や白菜が旬を迎え、温かいポタージュは心も体も休める効果があります。
冬のポタージュ①│カブのポタージュ(ナヴェ。navet)
カブは皮ごと煮込んだほうが旨味が出るので、しっかり洗いましょう。
葉っぱの部分はソテーにして浮見にしても、ピューレにして色味のアクセントにしても良いです。
冬のポタージュ②│カリフラワーのポタージュ(シューフルール。chou-fleur)
冷製にしても美味しいカリフラワーのポタージュ。
浮見には素揚げしたカリフラワーを入れると香ばしくて美味しいです。
冬のポタージュ③│白菜のポタージュ(シューシノワ。chou-chinois)
お鍋の定番白菜は意外にもポタージュにしても美味しいです。
シューは「キャベツ」、シノワは「中国の」という意味です。余談ですが、「シノワ」という濾し器は昔の中国のとんがり帽子に似てるからその名がついたそうです。
冬のポタージュ④│パイ包み(アンクルート。en croûte)
パイ包みのことをフレンチではアンクルート(en croûte)といいます。
カップごとパイ包みにすることでより温かく、見た目にも特別感のある仕上がりになります。
ポタージュ作りのアイデアとヒント②|応用編。
ここからは応用編ということで、より捻りのあるレシピ考案のアイデアとヒントをお教えします。
ここまで来たらもはや中堅レベルです!
ついに先輩方と同じ境地に近づくのですね。
ポタージュ作りの応用的なヒント①|同じ色の食材を組み合わせる。
一般的に同じ色の食材同士の組み合わせは合うとされます。
- トマトとパプリカ→赤と赤
- かぼちゃと人参→黄色と黄色
- カリフラワーとジャガイモ→白と白
もしかしたら、まだ誰も試していない意外な組み合わせがあるかもしれません!
中にはビーツとラズベリーのスープを作られたシェフもいます。
野菜だけでなく、果物を加える発想もあるんですね!
ポタージュ作りの応用的なヒント②│2色スープにする。
ジャガイモやカリフラワーなどの色の薄いポタージュをベースに、更にグリーンピースやパプリカ、紫芋のポタージュなどを少量加える合せ技です。
模様の付け方によっては、まるでキャンバスに放つ絵の具のよう。
見た目でも楽しめる料理となります。
スポイトに入れてお客さんに好きな模様を描いてもらうのも、楽しい演出になるかもしれませんね!
ポタージュ作りの応用的なヒント③│浮身をアレンジする。
基本的には、上記の図のようにポタージュのベースとなる野菜やミルクの泡を浮かべることが多いですが、ここでは更にひねりを加えたアレンジを紹介します。
- 人参のスープに人参の葉の素揚げを添える。
- カブのスープにカブの葉っぱとベーコンのソテーを浮かべる。
- きのこスープに乾燥させたきのこパウダーを加えて香りを引き立たせる。
- コーンスープにポップコーンを浮かべる。
など。ベースとなる食材をアレンジした浮見を添えることで、直感的にどの食材を使ったポタージュかがお客様に伝わります。
まとめ
今回はポタージュづくりの基本から様々なバリエーション、さらにはレシピづくりの応用的な考え方を紹介しました。
基本のベースの作り方を知ったから、あとは主役の素材を選ぶだけですね!あまり難しく考えず取り組めそうです!
最後にもう一度、基本のベースのレシピと各項目のおさらいをしましょう!
まとめ①│基本的なポタージュのレシピのおさらい。
- A.主役となる野菜……1kg(正味)※正味とは、皮や種などの不要物を除いたあとの重量のこと。
- 玉ねぎ……200g
- ポワロー……100g※ポワローがなければ玉ねぎのみでも大丈夫です。
- ソテー用の油、またはバター……適量 ※大量調理する場合、乳製品アレルギー対策として油でのソテーがオススメです。
- 水(又はブイヨン……1L〜1.5L※A.主役となる野菜に対して同量~1.5倍の水分。
- 仕上げ(提供前)に牛乳や生クリーム……適量
コースなら一人100cc~140ccぐらいが目安です。この分量なら牛乳やクリームで伸ばして約20~30人分となります。
自宅でポタージュを作るなら持っておくと便利!!
まとめ②│伝統的で基本的なポタージュのバリエーションのおさらい。
- パルマンティエ→じゃがいものスープ
- マイス→コーンポタージュ
- ポティロン→カボチャのポタージュ
- クレシー→人参のポタージュ
- サンジェルマン→グリーンピースのポタージュ
まとめ③│季節ごとのポタージュの例。
- 春→グリーンピースなどの豆類や貝ダシを使ったポタージュ。山菜のフリットを添えるのもオススメ。
- 夏→ヴィシソワーズなどの冷製や、とうもろこし、パプリカ、トマトなど夏野菜のポタージュ。
- 秋→きのこ、さつまいも、クリ、ゴボウなどの秋の味覚。
- 冬→カブ、カリフラワー、白菜などの冬野菜のポタージュやパイ包み。
まとめ④│ポタージュのアレンジの応用。
- 似た色の野菜同士で組み合わせる。
- 2色スープにする。
- 浮身をアレンジする。
今回は野菜のポタージュを中心に紹介しましたが、今後はミネストローネなど具の入ったスープやリゾットなどのレシピを紹介する記事を書きたいと思っているのでお楽しみに!
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